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独特のサスペンス映画

[No Country for Old Men]  (2007)

のーカントリー1

監督/コーエン兄弟 出演/トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン


非常にバイオレンスな映画です。暴力的な映画にもかかわらず、あのアカデミー賞を4部門獲得しています。

ただその辺のバイオレンス映画とは異質な雰囲気を持つ作品で、初めて見てもほとんどの人が意味不明です。バイオレンス好きの方には不十分に感じるだろうし、ストーリー重視の方には難解すぎと感じます。

その一番の原因は主役の保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)の存在とラストシーンです。

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この映画の中心人物は殺人鬼シガー(ハビエル・バルデム)とそのシガーに追い込まれ行くモス(ジョシュ・ブローリン)です。ベルの立場は捜査を担当する敏腕刑事というよりは傍観者的な立場です。唯一の行動はシガーからモス家族を避難させる位で特に大立ち回りもありません。


そんな人がこの映画では主人公です。見る側に共感できる部分が一つもありません。だから映画を見ても?となりさっぱり理解できなくなります。最低3回位見ないと全体像が理解できない位です。

映画は冒頭ベルの語りから始まり、この映画がベルの物語であることが解ります。そして怪しすぎる風貌のシガーの殺人シーンを繰り返して見せます。

no2 (4)

しかも家畜銃なるものを使用し簡単に殺します。不条理で動機もなく殺人行為を繰り返しますが彼の中には何か"生死のルール"みたいなものがあり、それに従い行動を起こしているように見えます。
人間の倫理観を一切含まない独自のルールに従って行動する様は恐怖そのものです。

映画はシガーの行動を中心に展開していきます。関わる人を次々殺戮します。また重症を負って自ら治療するシーンは長尺で撮られています。意図は"無敵"のイメージか。肉体は負傷しても自ら再生能力を持つ圧倒的な生命力をもつ存在をアピール、同様の場面はラストに近い場面にもあります。

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後半には殺人シーンもほぼ省略され、彼と関われば死んでしまうというイメージを植え付けます。

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こんな人間に追われればモスは逃げ切れるはずもありません。しかし彼は何か自信があるように見えます。というよりこの逃走劇を楽しんでるようにも見えます。その自信の根拠はベトナムの戦地体験からくる経験からかもしれません。

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この追走劇にベル保安官の関わりは管轄内で発生した事件を淡々と捜査するだけであり感情的でもなく異常な殺人行動に逆に呆れて手のうちようがないという状態です。

ベルの関わってきた過去の事件とは異質であるこの事件は現代の動機を持たない狂気の犯罪そのものです。時代の変化に合わせてますます凶悪化していく犯罪に保安官としての自分の力量に疑問を持ち始めたベル。

そして今の自分に出来る事として判断したのが"これ以上犠牲者を出さない"というモスの救出でした。

結局、誰一人として救出できなかったベルは保安官の引退を決めます。シガーは関わる人間を皆殺しにして消えていきます。

普通に歩いて消えていくシガーを見ているとそれは現代の闇の象徴のように見えこの先も延々彼は存在していくみたいに感じてしまいます。それは視聴者に悪は消えないというあきらめをイメージさせてるようです。

そして難解で意味不明のラストシーンであるベルの夢の語り。

普通、危険な事から逃れた人間なら晴れ晴れとした表情です。
でもこの時のベルの表情はどうでしょう?

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劇中、彼の父親や叔父は保安官としてどんな不条理な事件であろうとも命を懸けて対処してきたという過去があり、ベル自身もそんな先代の誇りに憧れこの職に進みました。しかし今のベルは異常な事件から逃げるように引退し平穏に暮らしています。

夢の内容から自分の下した判断が正しかったのかどうなのか、どうすべきかを自分に問いているかのように見えます。

映画の中盤シーンにあるベルとシガーのニアミスシーンはベルが先代の血を受け継ぐ勇気を持つ人間である事からもこの夢で自分にもう一度問いかけるという行動は理解できると僕は考えます。多分、このベルの対比として"立ち向かう"モスという存在が描かれているんでしょう。

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この辺の解釈は人それぞれでどう思うかは見た本人に委ねられています。ネット上ではいろんな解釈が見れます。それを見るのもおもしろいですよ。

さらに現実世界でこの映画の舞台であるテキサス、メキシコ北部は世界で最も治安の悪い地域です。この地域に根付いている犯罪の歴史みたいなものも感じとる事もできます。

僕はコーエン兄弟の作品はこれが初めてです。特徴は起承転結のストーリー展開が見えないか、わざとそう見せないか。またBGMがありません。だから映画が淡々と無機質に進んでいく感じです。

映像もわずかな光を巧みに使うを使うシーンが多くあり、

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カットもアップと俯瞰映像が劇中何度も使われ、まるで小説を映像で見てる感覚になります。

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なかなか手の出しにくい作品ですが見る価値は十分あると思います。
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テーマ : 洋画    ジャンル : 映画


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